診断士試験2次試験突破の最大のカギともいえる観点の1つである「フレームワーク」。
ひとことでフレームワークとはいえ、事例共通で使えるフレームワークや、各事例で活用すべきフレームワークまで様々です。
本記事では、診断士試験2次試験で必要となるフレームワークを紹介します。
事例共通:企業戦略・事業戦略のための3つのフレームワーク
診断士2次試験では、各事例の特有の項目(事例Iであれば組織・人事戦略)と合わせて、企業戦略や事業戦略が事例共通で問われます。
企業戦略や事業戦略では、中小企業ならではの戦略を定義する以下3つのフレームワークが存在しますのでこれらは確実におさえておきましょう。
- SWOT分析
- アンゾフの製品・市場マトリックス
- ポーターの基本戦略
3つのフレームワークの詳細なポイントは下記にまとめています。

事例Ⅰ:組織・人事
事例Ⅰは「組織・人事を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」です。
事例Ⅰで問われるのは、大きく「事業戦略」および、それに伴う「組織戦略」、「人事戦略」となります。
「事業戦略」と、それに伴う「組織変更」、「人事戦略」はそれぞれが密接に結びついているものであり、独立した戦略ではないため、チャンドラーの『組織(人事)は戦略に従う』の理解がが事例Ⅰの最重要ポイントと言えます。
事例Ⅰの詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

事例Ⅱ:マーケティング・流通
事例Ⅱは「マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」です。
事例Ⅱに取り組む上で、軸となるのは、コトラーが提唱した「マーケテング・マネジメント・プロセス」という以下のマーケティング戦略の実践プロセスです。
特に「標的市場の選定(STP分析)」と「マーケティング・ミックス戦略の開発(4P分析)」が肝となります。
- 市場機会の分析(SWOT分析)
- 標的市場の選定(STP分析)
- マーケティング・ミックス戦略の開発(4P分析)
- マーケティング活動の管理
事例Ⅱの詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

事例Ⅲ:生産・技術
事例Ⅲは「生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」です。
事例Ⅲにおいて大きく問われるのは『経営戦略』と『生産管理』の2点です。
事例Ⅲの特徴となる『生産管理』はさらに、『営業面』と『生産面』、それをつなぐ『情報システム』に分類できます。
事例Ⅲの詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

事例Ⅳ:財務・会計
事例Ⅳは「財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例」です。
計算問題が主となることから苦手意識を持たれてる方も多いですが、財務・会計の合格ライン突破なくして2次試験の合格はありません。
逆にいえば、事例Ⅳを得意科目にすることは大きなアドバンテージになりますので、しっかりと理解できるまで時間をかけて勉強しましょう。
財務・会計は会計(アカウンティング)と財務(ファイナンス)からなりますが、特に会計分野は財務会計の基礎といえるため、出題されたら確実に得点源にできるようにならなければいけません。
会計(アカウンティング)
会計科目(アカウンティング)の最頻出項目は、「経営分析」、「原価計算」、「キャッシュフロー」の3つです。
いずれもB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)、C/F(キャッシュフロー計算書)の財務三表の組み合わせで分析が完結する、財務会計の基礎分野ですので確実に得点源としましょう。
経営分析
「経営分析」は毎年事例IVの第一問に出題される必須項目です。
与えられた財務指標から、期間比較(過去や将来の自社比較)、または他社比較で、3つの問題点(および原因や改善策)を問われ、以下の流れで分析することになります。
- 与件文から問題点(または改善)の根拠となる箇所を抽出
- 財務諸表から、抽出した根拠を表す指標を読み取り良し悪しを判断
- 解答となる3つの指標が収益性・効率性・安全性が網羅されているか確認
経営分析の詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

原価計算
「原価計算」は、経営分析に次ぐ出題頻度のため、絶対に得点源としたい項目です。
損益分岐点分析をはじめとした「CVP分析」に加えて、、限られた経営資源の中でどの製品に注力すべきかを意思決定する「セールスミックス(採算性分析)」をおさえておく必要があります。
原価計算の詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

キャッシュフロー
「キャッシュフロー」も、出題頻度の高い項目、苦手意識を持っている方が多く、逆にいうと他の受験生と差がつけやすい項目です。
キャッシュフローの増減を「営業活動キャッシュフロー(営業CF)」、「投資活動キャッシュフロー(投資CF)」、「財務活動キャッシュフロー(財務CF)」に分けて算出する「キャッシュフロー計算書」、および算出した計算書を用いたFCFや運転資本を取り扱う「キャッシュフロー分析」がメインテーマとなります。
キャッシュフローの詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

財務(ファイナンス)
財務科目(ファイナンス)の最頻出項目は、「設備投資評価」、「企業価値算定」、の2つです。
会計科目(アカウンティング)と比較すると応用分野に相当しますが、「原価計算」や「キャッシュフロー」の会計科目と同じ頻度で、財務科目(ファイナンス)が出題されます。
これらの頻出科目を得点できると「A評価」、2次試験の合格に限りなく近づけるといえます。
設備投資評価
「設備投資評価」は、設備投資の意思決定に向けてすべき、「投資に対するリターンが得られるか」をキャッシュベースで行う評価です。
設備投資評価の基本となる『正味現在価値法(NPV)』を確実に扱えるかどうかがポイントとなります。
その中でも、「設備投資」や「設備売却」に伴う法人税の節約である『タックスシールド』への理解がA評価への分かれ目となりますので確実に理解しましょう。
設備投資評価の詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

企業価値算定
「企業価値算定」は、その名の通り企業価値を算定する項目となり、財務・会計の頻出科目の中ではこれまで紹介した内容を総合的に扱う、総合問題の扱いになります。
企業価値算定分野では下記4ステップでのDCF法による企業価値を確実に算出できることがポイントです。
- 予測財務諸表作成
- 予測期間のFCF現在価値算出
- 永続価値の現在価値算出
- 企業価値算出(「予測期間のFCFの現在価値」と「永続価値の現在価値」を合算)
企業価値算定の詳細なおさえておくべきポイントは下記にまとめています。

まとめ:過去問を徹底的に繰り返す
これまで診断士2次試験4事例に取り組むための概要を紹介しました(各事例でおさえておくべき詳細は、各記事を合わせてお読みください)。
紹介したフレームワークを得点につなげるためには、『過去問を徹底的に繰り返す』ことが再重要です。
様々な問題に手を出すのではなく、同じ問題を徹底的に掘り下げましょう(過去問が最大の良問です)。
例外として、事例Ⅳだけは多くの問題に触れたほうがよいです。
「中小企業診断士 集中特訓 財務・会計 」といった財務・会計特化本を追加でやりこみましょう。
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