【プロジェクトリーダーの心得・設計フェーズ】「How」をデザイン

プロジェクトリーダーの心得(設計フェーズ)中小企業診断士

仕事を行う上で、大小様々な『プロジェクト』を経験されたかと思いますが、100%完璧なプロジェクトなど存在しなかったのではないでしょうか?

プロジェクト』は奥が深く、特にプロジェクトリーダーはあらゆる観点で意識を張り巡らせなければなりません。

本記事では「プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトのデザインを行う『設計フェーズ』の心得を紹介します。

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プロジェクトにおける『設計フェーズ』の位置づけ

プロジェクトフェーズ

プロジェクトは、『独自の製品、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務』と定義されています。

達成すべき目標、およびそれを実現するためのスケジュールが存在しますが、目標やスケジュールによってそのためのアプローチや投資すべきスキル・リソースは全く異なってきます。

例えば、マラソン(42.195km)目標を4時間で走るのか、8時間で歩くのかスケジュールによってそれまでの【準備】や当日の動き方は大きく異なります。

そのため、プロジェクトが定義された後、プロジェクトを『設計』する(どのように予算・計画を見積るか、どのようなチームを構築するか、どのようなルールを設定するかをデザインする)ことが必須です。

これがプロジェクトにおける『設計フェーズ』の位置づけです。

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予算・計画見積

根拠のある見積を行う

プロジェクトにおける予算見積は、その後のプロジェクトの成否やプロジェクトメンバーのパフォーマンスに大きく影響を与える最重要アクションです。

第三者が提示した見積感にとらわれることなく、必ず自身で根拠のある見積を行いましょう。

この際、クライアントからの値引き要求に対し、「優しさ」や「妥協」で応じてしまうことは絶対にいけません。

プロジェクトにおけるQCD(品質・コスト・納期)は必ずトレードオフの関係です。

(通常プロジェクトの納期をコントロールすることはないため)安易にC(コスト)を下げることは、そのままQ(品質)を下げることに繋がり、結果的にクライアントに迷惑をかけることになり、真の意味での「や優しさ」ではありません。

バッファを正しく管理する

「担当者が病欠した」、「顧客要望による仕様変更があった」など、どれだけ事前にリスクを見込んでいたとしても、プロジェクトには『想定外』が絶えません。

そのため、プロジェクトにおけるプロセスやタスクを見積る際は、意識しているしていないに関わらず、誰でも「バッファ」を見積もっています(例:3週間予定のプロセスに対し、バッファ1週間を見積もる)。

しかし、見積もられた「バッファ」が個人のみで管理されているとどうなるでしょうか?

タスクの担当者がバッファを載せ、上位のプロセス管理者がバッファを載せ、プロジェクトリーダーがバッファを載せ…気づけばバッファが積み上がり実作業の倍の作業見積になっていることも少なくありません。

バッファの存在は、プロジェクトの真の進捗を曖昧にしてしまいます。

管理する場合、プロジェクト全体としての「バッファ」がどれだけあるのか、メンバーと連携しながら全体管理しましょう。

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体制構築

メンバーの「強み」を活かす

プロジェクトにおいては、プロジェクトメンバー全員が完璧なドリームチームということは絶対にありません。

それぞれ「強み」や「弱み」の個性をもったメンバーたちの集合体がプロジェクトメンバーとなります。

しかし、プロジェクトのゴールを達成するためには、メンバー個々の「強み」をどうプロジェクトに活かし、「弱み」を他のメンバーでカバーできるかの考え方が重要になります。

メンバー個々の「強み」のみに着目し、適材適所のプロジェクト体制構築を目指しましょう。

長期的な目線でメンバー育成のため、あえて「弱み」に着目したアサインもありますが、『プロジェクトそのもののゴール達成』のみの観点からは「強み」に着目した体制構築が必要です。

役割と責任を明確にする

プロジェクトにおいては、必ず各メンバーの「役割(≠肩書)」と「責任」を明確にしましょう。

重要なのは、「一つの役割に複数の責任者を設けない」ことです。

複数の責任者を設けてしまうことで、責任の所在があいまいになってしまうため、その場合であっても主責任者は○○さん、といったように最終的な一人の責任者を設けるべきです。

またもう一つ重要なのは、「明確にした役割と責任をプロジェクトメンバー全員で合意」するということです。

プロジェクトリーダーが体制図を含めたプロジェクト計画書を作成しても、その後誰もその体制図を参照しないのであれば、役割と責任は存在しないのと同義です。

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作業設計

作業の5W1Hを明確にする

言わずもがな5W1Hとは以下を指します。

  • Who … 誰が
  • What … 何を
  • When … いつ
  • Why … なぜ
  • Where … どこで
  • How … どうやって

作業設計において『Who(誰が:担当者)』『What(何を:作業)』『When(いつ:納期)』の重要性はいうまでもありません。

しかし、特に経験が浅いメンバーに対しては、上記のみならず『Why(なぜ:作業の背景)』『Where(どこで:場所)』『How(どうやって:手段)を丁寧に説明することが必要です。

特に忙しいプロジェクトの日々の作業の中で、『Whyはおろそかになりがちですが、動機づけとして最も重要なインプットとなります。

クリティカルパスを重点管理する

クリティカルパス」とは、プロジェクト上の複数プロセスにおける、「開始から終了までもっとも時間がかかる経路(最長経路)」を指します。

プロジェクト上で複数のプロセスが並行稼働する場合、すべてのプロセスが同じ工数であることは稀で、少ない工数で完了するプロセスもあれば、工数を要するプロセスも存在します。

この場合、工数を最も要するプロセスがプロジェクト上の「クリティカルパス」となり、パス上のタスクが遅れると、プロジェクトのスケジュール遅延に直結します。

プロジェクトを遅延なく運営するため、プロジェクト上のクリティカルパスを把握、リソースを優先的に配置、重点管理するようにしましょう。
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ルール設計

ルールは最小限に絞る

異なるバックグラウンドを持ったメンバーが集まるプロジェクトにおいて『ルール』の設計は必須です。

例えば、出社時間ひとつとっても、人種やキャリアによりその人にとっての「当たり前」は違います。
ルーツが無いというのは無秩序を意味するため、自由を重んじるというのとは意味が違います。

一方で、『無駄なルールの設計』が行われていないかも重要です。

自身がプロジェクトリーダーになると、つい下記のようなルールを設定してしまいがちではないでしょうか?
たいていは形骸化、むしろプロジェクトメンバーのモチベーションを削いでしまうものとなります。

  • 朝は全員でミーティング
  • 役職に関係なくお互い「○○さん」で呼び合う
  • 毎週最終日は飲みニケーション

過ぎたるは及ばざるが如しで、『ルール』の設計は「3つ」までが最適と言われています。

プロジェクトにおけるルールメイキングの役割は『品質向上』および『生産性向上』、これらの役割を満たすものに絞りましょう。

会議のルールを設計する

ルールメイキングの中でも、「会議」のルール設計はプロジェクトの品質向上・生産性向上に最も重要と言われています。

欧米では、決定権を持つ1~2名しか参加しない会議に対し、日本では、10人単位で参加(ほとんどは会議内での役割も存在しない)するということは多々あります。

会議の参加者がN人の場合、発生するコミュニケーションの数はN×(N-1)÷2、1人増えるだけでコミュニケーションに要する時間は明白ですので、会議体は如何に参加者を絞れるか、をルール設計の観点としましょう。

さらに、不要な会議を「やらない」という選択肢を常に考えることも必要です。

日本では、とりあえず集まってみたもののトピックがなく無駄に消費する、ということが多々あります。
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まとめ

プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトのデザインを行う『設計フェーズ』の心得を紹介しました。

また他フェーズの心得についても下記にまとめていますので合わせてお読み下さい。

【プロジェクトリーダーの心得・定義フェーズ】関係者間で意識を統一
仕事を行う上で、大小様々な『プロジェクト』を経験されたかと思いますが、100%完璧なプロジェクトなど存在しなかったのではないでしょうか?『プロジェクト』は奥が深く、特にプロジェクトリーダーはあらゆる観点で意識を張り巡らせなければなりません。本記事では「プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトの立ち上がりである『定義フェーズ』の心得を紹介します。
【プロジェクトリーダーの心得・実行フェーズ】実行は意思決定の連続
仕事を行う上で、大小様々な『プロジェクト』を経験されたかと思いますが、100%完璧なプロジェクトなど存在しなかったのではないでしょうか?『プロジェクト』は奥が深く、特にプロジェクトリーダーはあらゆる観点で意識を張り巡らせなければなりません。本記事では「プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトを推進する『実行フェーズ』の心得を紹介します。

本記事は、プロジェクトリーダーの心得が良くまとまっている『プロジェクトリーダーの教科書』を参考にまとめさせていただきました。

ご興味を持たれた方は、ぜひ本書にてより深い心得を学ばれることをオススメします。


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