【心理学:統計・測定・評価】心を測り、可視化し、社会に繋ぐ学問

心理学-統計・測定・評価キャリア&スキル

幅広い心理学のテーマの中で、『統計・測定・評価』は、心という目に見えないものを正しく測定、可視化し、人間や社会に結び付けることを学ぶ領域です。

本記事では、この「統計・測定・評価」を構成するそれぞれの領域について紹介します。

スポンサーリンク

統計・測定・評価

本テーマでは、目に見えないものを正しく測る「測定」、測った結果を可視化する「統計」、それを実際の人間や社会に結びつけて活用する「評価」を扱います。

  • 統計
  • 測定
  • 評価

以下、それぞれの領域における主なポイントを紹介します。

スポンサーリンク

統計

「母集団」と「標本」

データには「母集団」と「標本」、2つの概念があります。

  • 母集団 …本来対象となるデータ全体
  • 標本 … 母集団の情報を推測するために抽出した一部のデータ

データ分析において、「母集団」全てのデータを知ることは稀です。

そのため、「母集団」の一部である「標本」を抽出することで、この標本の統計量を把握するすることで、母集団を推測することができます。

この流れを、それぞれ『記述統計』、『推測統計』と表現、統計学は大きくこれらの2つに分類されます。

  • 記述統計 … 「標本」データを元に、データの特徴を記述
  • 推測統計 …  「標本」から「母集団」を推測

統計学-母集団と標本

記述統計・推測統計については、下記の記事で詳細をまとめていますので、合わせてお読みください。
【統計学:母集団と標本】「記述統計」と「推測統計」の元となる概念
データサイエンスの位置づけが重要となる中で必要性を増す「統計学」。統計学を学ぶ上で、最も基礎となる考え方が「母集団」と「標本」の概念です。これらの概念をどう扱うかによって、「記述統計」と「推測統計」2つの統計学に繋がります。本記事では、この「母集団」と「標本」、および2つの統計学について説明します。

多変量解析

「多変量解析」は、複数の変数をまとめて統計的処理を行う手法の総称です。

下記の図のように大きく「外的基準あり」の分析、および「外的基準なし」の分析に分かれます。

統計学-多変量解析の種類

  • 回帰分析…数値(連続値)の予測(例:労働時間からストレスを予測)
  • 判別分析…カテゴリー(離散値)の予測(例:合格や不合格の識別)
  • 因子分析…複数の変数間の潜在変数を抽出(例:各テスト結果の要因を記憶力と定義)
  • 主成分分析…情報を集約して合成変数を作成(例:身長と体重からBMIを算出)
多変量解析については、下記の記事で詳細をまとめていますので、合わせてお読みください。
【統計学:多変量解析】様々な分析手法の使い方や違いの理解がカギ!
データサイエンスの位置づけが重要となる中で必要性を増す「統計学」。統計学を学ぶ上で、重要な分析手法となるのが「多変量解析」です。ひとことで多変量解析といっても様々な分析手法があるため苦手とする方も多いですが、それぞれの手法を理解することで、その便利さに気づくことができます。本記事では、この「多変量解析」について説明します。
スポンサーリンク

測定

信頼性と妥当性

心理学的測定において求められる条件には、「信頼性」と「妥当性」の2つの基準があります。

信頼性 … データを得る際の安定性や、複数の項目間のデータの内的整合性

再検査法、平行検査法、折半法といった方法で信頼性係数を高めます。

妥当性 … 測定において得られるデータが研究においてふさわしいかという基準

以下のような観点から分類されます。

  • 内容的妥当性 … 尺度の検査項目の範囲や尺度の名称などが妥当であると感じられる程度
  • 基準関連妥当性 … ある測定がそれと関連する他の基準による測定結果とどの程度対応しているか
  • 構成概念妥当性 … 研究にあたり意図した概念的な変数を適切に測定しているか
スポンサーリンク

評価

心理検査

心理検査には、性格検査・知能検査など多くが存在します。

性格検査は、その理論的背景によって3つに大別されます。

  • 投影法 … ロールシャッハテスト、TAT、バウムテスト、HTPテスト、SCT、P-Fスタディ
  • 質問紙法 … MPI、EPPS、エゴグラム、MMPI、YG性格検査
  • 作業検査法 … 内田クレペリン検査、IAT

また知能検査においても、さまざまな種類がありますが、特に『ビネー式知能検査』と『ウェイクスラー知能検査』が有名です。

ビネー式知能検査は、ビネーとシモンによって開発された世界初の知能検査法です。
各国で翻訳改訂されており、米国ターマンによる「スタンフォード・ビネー法」、我が国では田中寛一による「田中ビネー法」が有名です。
ウェイクスラー知能検査は、ウェイクスラーによって考案された知能検査です。
幼児用の「WPPSI」、児童用の「WISC」、成人用の「WAIS」が有名です。

教授=学習過程における評価

教授=学習過程における評価は、評価を行う時期や目的によって以下の3つに分けられます。

  • 診断的評価 … 学年冒頭や新入生に対して行い、結果をもとに教材を選んだり指導計画を立てる
  • 形成的評価 … 単位時間終了時に実施される評価、学習到達状況を把握し指導計画の見直しを行う
  • 総括的評価 … 大単元終了時や、学期末・学年末に行い、最終的にどの程度到達したか把握する
スポンサーリンク

まとめ

本記事では、心という目に見えないものを正しく測定、可視化し、人間や社会に結び付けるエッセンスについてまとめてみました。

興味を持たれた方は、書籍などでさらに学ばれることをオススメします。

さらに心理学を深く学ばれたい方は、『心理学検定』へのチャレンジもオススメしています。

以下の記事にて、心理学検定について詳しくまとめていますので、ご興味あれば合わせてお読みください。

心理学検定を独学合格!!新試験要綱をおさえて『特1級』を狙おう!
『心理学』は、多かれ少なかれ、全ての方が興味がある学問ではないでしょうか。自身の内省、周囲とのコミュニケーションなどその応用分野は多岐にわたります。心理学を学び、かつ学習を通して身に着けたスキルの証明として資格試験を目指したい、という方も多いのではないでしょうか。本記事では、心理学を幅広く学べ社会的にそのスキルを証明できる、心理学検定について紹介します。

コメント