【心理学×論理学的バイアス】議論で『論破』されないためのナレッジ

認知バイアス-論理学キャリア&スキル

心理学において、偏見や思い込み、誤解などを指す言葉として『バイアス』が様々なシーンで使われます。

本記事では、どのような『バイアス』が存在するのか?私たちの日常生活の認知にどのような影響を与えているかをまとめています。

バイアス』を正しく理解し、自分で情報を正しく選択できるようになりましょう。

スポンサーリンク

心理学×論理学的バイアス

日常や会社生活の中で、なぜ間違った記憶をしてしまうのか、思い込みをしてしまうのか…。

私たちが会話や議論で「論破」されないために知っておくべき『論理学』の観点から『認知バイアス』を理解しましょう。

スポンサーリンク

ソリテス・パラドックス

『砂山』から1粒ずつ砂を取り除くケースを想像してみましょう。

この際、「砂山から1粒砂を取り除いてもそれは『砂山』である」ことが成り立つと言えます。
故に、この作業を繰り返していっても、残ったものは以前『砂山』ということになります。
しかし、最後に1粒の砂だけが残されたとき、それはもはや『砂山』といえるのでしょうか。
常識でいうならば『砂山』であるはずがないですが、このような連続した議論からは『砂山』という結論となります。

このように、意味が曖昧な語を用いることによるパラドックスを、『ソリテス・パラドックス』といいます。

ソリテス・パラドックスは至るところで見られます。

例えば、「新しいビジネス」と謳った際、『新しい』とは何か?が曖昧なまま議論を進めていくことで、必ず壁にぶち当たってしまいます。

スポンサーリンク

早まった一般化

早まった一般化

『団塊世代は~』、『ゆとり世代なので~』、『Z世代特有の~』など、一般的なイメージで語られてしまい納得感が無かったことはないでしょうか。

このように、少数の個別事例やイメージから、一般的な範囲に拡大しその性質が成立するとすることを『早まった一般化』と言います。

この過程にあるのは、個別の対象がある性質を持っていることから全体にその性質があるとする『帰納法』です。

早まった一般化を防ぐには、常に「帰納法による一般化を覆す反例」を意識することです。

さらにもう一つ重要なのは、一般化の対象範囲を広げすぎないことです。

「○○世代は~」、「日本人は~」、「女性は~」など主語の範囲が広すぎると常に反例が存在しうることを注意しましょう。

チェリー・ピッキング

旅行や住宅紹介のWebページやパンフレットは、基本的に『良い情報』だけが並んでいます。

このような媒体にマイナスの情報を入れるメリットはないため、語りてとしては至極当然の流れです。

このように、自分に都合の良い証拠だけを提示し不都合な証拠を無視することを『チェリー・ピッキング』といいます。

一方で、自分が受け手となる場合は、自分自身を守るためにも、語られていない不都合な真実の存在を疑うようにしましょう。
スポンサーリンク

ギャンブラーの誤謬

連続して同じ結果が出ていると、次は異なる結果となるのではと考える心理が働きがちです。

例えば、赤が出る確率と黒が出る確率がそれぞれ1/2のルーレットを回し、黒が4回連続続いていると、次は赤が出る確率が高いと考えてしまうのではないでしょうか。

「黒が5回連続となる確率は1/2×1/2×1/2×1/2×1/2 = 1/32 (3%)しかないから、赤となるはず」という思考です。
しかし、実際には黒が4回連続したという事実は、次に出る色には何の影響はなく、次に黒が出る確率は1/2(50%)です。

このように、1回ごとの試行が独立なランダム事象に対し、一方が連続で出た後にもう一方が出ると考えてしまうことを『ギャンブラーの誤謬』といいます。

過去の結果は未来に影響しない」、というのはギャンブルにおいては気を付けなければならないですが、人生において、過去に悪いことがあったとしても未来には影響しない(良いことが起こるはず)と前向きに考えるようにしましょう。

スポンサーリンク

対人論法

対人論法

議論の中で、議論のポイントそのものではなく、自分自身に対しての批判(○○のくせに、自分だって△△なのに)を受けたことは無いでしょうか。

このように、問題の論点ではなく、論者が持つ性質を批判することで相手の主張を退けることを『対人論法』といいます。

対人論法は、一見言い返しにくい批判ですが、裏を返せば議論のポイント自体に反論ができないために、論点ずらしを行っているに過ぎません。

このような場合には、「人格」と「意見」を切り分けて論じるよう修正するようにしましょう。

とはいえ、状況によっては、「何を言ったか」以上に「誰が言ったか」に重点が置かれること自体はあります。
例えば、SNS上での刺激的な発言が炎上する場合、同じ発言を一般の方がしていても問題にならない場合でも、著名人が発言をすることで取返しのつかないことになることは多々あります。

藁人形論法

議論のすり替えとして有名な論法として『藁人形論法』があります。

藁人形論法とは、相手の主張を単純化・極論化し、歪んだ主張に対して反論することで議論を優位に進めようとする論法です。

例えば、夫婦喧嘩においても藁人形論法は使用されています。

妻「タバコやお酒は健康に良くないからやめてほしい」
夫「自分だってコーヒーを飲んでいるじゃないか」(嗜好品は全てNGという議論のすり替え)

議論のすり替えに気づかないと相手のペースで議論が進んでいってしまうため気をつけましょう。

スポンサーリンク

信念バイアス

信念バイアス

人は妥当性よりも、信念(結論をもっともらしく感じるか)による判断を、論理的な判断よりも優先しがちです(信念バイアス)。

これは、論理と信念がぶつかったときには信念を優先させるというヒューリステックを適用したと考えられます。

いわゆるブラック企業にはびこる考え方も信念バイアスによるものがほとんどです。

しかし信念バイアスは決して悪いことばかりではありません。

自身の信念が間違っていない限り、信念を重視して物事を判断しても物事は良い方向に進むとも考えられているためです。

信念の保守主義

自分が一度信じたものを否定することはとても難しいのではないでしょうか。

逆に、一度疑い出したら、それが晴れるのにも時間がかかります。

このように、人間の信念の改定は、情報がアップデートされても即座には更新されないことを『信念の保守主義』と言います。

これを『アンカリング効果』とも言い、最初に与えられた値が基準(アンカー)となり、その後提示された別の値がアンカーに引きずられます。

これを知ることで、なかなか相手と分かり合えなくとも、時間をかけて関係を気づくことで相手の信念を変えることも可能である、と考えましょう。

スポンサーリンク

まとめ

本記事では、私たちが会話や議論で「論破」されないために知っておくべき『論理学』の観点から『認知バイアス』を紹介しました。

心理学の世界において認知バイアスの理解は必須です。

認知バイアスに興味を持たれた方は、下記の書籍などでさらに学ばれることをオススメします。

 

コメント