今流行りの行動経済学!データサイエンティストこそ身につけたい学問

行動経済学キャリア&スキル

データサイエンスの業務や学習をしていると、どうしても『データドリブン』、すなわち目の前のデータありきの分析になりがちです。

データサイエンスに限らずご自身が努力して習得した知識やノウハウは誰しも使いたいものです。 しかし、いざ実践で一生懸命分析したデータをもとにクライアントにプレゼン!…したものの全然響かなかった、ということはないでしょうか。

ビッグデータはあくまで強力な手段(素材)であって、立派な素材がクライアントにまさに刺さるものに料理するのはご自身の腕に他なりません。

その際に必要なのは、データサイエンス力(統計スキル)やデータエンジニア力(プログラミング)をさらに強力することではありません。データサイエンスの必要な3つのうちもう一つビジネス力です。

ビジネス力といっても様々なありますが、とりわけ『行動経済学』はデータサイエンスと親和性が高い概念です。 本記事ではこの『行動経済学』について紹介したいと思います。

データサイエンスの学習と並行、あるいは実務で煮詰まったときに本学問を学ぶと一つ上のデータサイエンティストを狙えるのではないでしょうか。

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行動経済学とは 『= 経済学×心理学』

行動経済学とは、簡易に表現すると経済学×心理学、経済学の考え方を起点として、人の心理を取り入れたものです。

伝統的な経済学

いわゆる伝統的な経済学は、人は常に合理的であり利己的であるという前提のものに理論が積み上げられてきたものです。ずっとこの前提で経済学という学問が発展してきました。

しかし経済学はあくまで学問であり現実とのギャップがある、というのがこれまでの経済学でした。 例えば、経済学を学ばれたことがある方であれば感じたかもしれませんが、人は時として非合理的な選択をとってしまうし、利他的な一面も持ち合わせています。

皆さんも下記のようなことを考えたことはないでしょうか?

「宝くじの期待値はマイナスのはずだけど、自分なら当たる気がする!」

行動経済学(ナッジ)

上記のような、「人は時として非合理的な選択をする」、「利他的な行動をとってしまうこともある」といった概念を経済学の概念として取り入れたのが行動経済学(ナッジ)です。

行動経済学は、人間の行動の特徴を明らかにして、その行動でどういった経済社会ができるかを追求する学問です。

2002年に行動経済学の分野でノーベル経済学賞が受賞され、ようやく近年その概念が注目され始めました。近年ではMBAでも扱われる分野です。

さらに同様に近年注目され始めたデータサイエンスにおいて、データドリブンの限界を突破する概念にもなったのが行動経済学です。伝統的な経済学同様、データもデータ自身は常に合理的であるためです。

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行動経済学がデータサイエンスにもたらすメリット

冒頭のように、データサイエンスを学んでいるとで『データが全て』、というデータドリブンの分析になりがちです。

多くの場合において、データ『だけ』をもとにした分析は、表面的には的を捉えているようでクライアントの深いところには刺さらないものです。しかしこれは分析したデータに問題があるのではありません。

仮にクライアントからエンドユーザーの顧客行動をデータとして入手・分析したとします。

表面的なエンドユーザーの行動をまとめたデータだけでは、これまでエンドユーザーがとった行動の集計にすぎません。クライアントが求めているのは、So What?=ではどうするべきか、です。

ビッグデータをベースに機械学習で予測を行うこと自体は可能ですが、いわゆる筋のいい予測を行うためには、Why So?=それはなぜ、を突き詰めることがマストです。

つまり、クライアントがどういった意識や背景を持っておりそのような行動に至ったのかを理解することが重要です。 『行動経済学』はそういったWhy so?を明らかにする学問です。

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行動経済学を学ぶためにオススメの本

行動経済学を学ぶ、とは言っても、がっつり時間をかけて学問を学ぶ必要まではありません。

入門書などを読み、こういった概念があるのか、と把握するだけでも十分メリットが感じられるはずです。入門書を読んでみて、学問としてより深い学びをしたいと感じたら大学院に通ってみるのもよいかもしれません。

ここからは行動経済学を学ぶのに最適な、実際に私が読んだ書籍を紹介します。

注意点として、行動経済学が日本でまだ新しい学問であるためか、この分野は洋書を翻訳したものがほとんです。私自身、日本の事例の方が頭に入ってきやすいため和書のものを探した結果下記にたどり着きました。

行動経済学見るだけノート

 

「知識ゼロでも今すぐ使える! 行動経済学見るだけノート」は「見るだけノート」シリーズの行動経済学編です。

見るだけノートシリーズはどれも超入門書として優秀ですが、本書においても同様です。行動経済学について全体像を把握をするため最初の一歩を踏み出したい方にとっては、1日あればさっと読め、かつ行動経済学に興味を持つには十分となる書籍です。1冊目としては本書をオススメしたいです。

MBA実況中継 行動経済学

 

「名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継 04 行動経済学」は「MBA実況中継」シリーズの行動経済学編です。

行動経済学に限らず、学問として学ぼうとすると教科書的なものを読まなければいけないと身構えてしまいますが、本シリーズは、実況中継の名の通り講師の喋り口調で、たとえ話を交えながら理解を深めていけるため読みやすいです。特に行動経済学は、(実務として生かそうとした場合)学問として理解するより事例ベースで把握したほうが「使える」知識となるため、本書はオススメです。

人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学

 
「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」の著者の松本氏はデータサイエンティストです。データサイエンスの観点を交え行動経済学を語ってくれるため、データサイエンスの延長で行動経済学を理解したい方には最適の書籍です。
 
事例ベースで行動経済学を理解できますが、流行り(M-1グランプリ)や直近(コロナウイルスなど)の事例ベースのため、楽しみながら読み進めていくことができるとてもオススメの本です。
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まとめ

本記事で紹介したように、行動経済学を理解することは、ご自身を『一つ上のデータサイエンティスト』に導いてくれる道になることでしょう。 『データ』と『心理学』というと相いれない別物にように感じてしまいがちですが、現在のクライアントへのアプローチしてどちらも最重要な概念です。

ぜひこの機会に行動経済学を学んでみてはいかがでしょうか。

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