心理学において、偏見や思い込み、誤解などを指す言葉として『バイアス』が様々なシーンで使われます。
本記事では、どのような『バイアス』が存在するのか?私たちの日常生活の認知にどのような影響を与えているかをまとめています。
『バイアス』を正しく理解し、自分で情報を正しく選択できるようになりましょう。
心理学×社会心理学的バイアス
日常や会社生活の中で、なぜ間違った記憶をしてしまうのか、思い込みをしてしまうのか…。
人間特有の不合理な行動をひも解く『社会心理学』の観点から『認知バイアス』を理解しましょう。
ハロー効果
ハロー効果・ゲインロス効果
面接などにおいて、「見た目」や「声」など最初の印象が良いと、合わせて以降の印象も良くなると言われます。
このように、特筆した特徴があると、他の面の評価も合わせてよくなることを『ハロー効果』と言います。
また逆に、最初の印象が悪い場合であってもその後良いことをすることで、最初から良い人が同じ行為をする場合よりも大きく評価が上がる『ゲインロス効果』があります。
ゲインロス効果は狙って行うものではありませんが、最初の印象が悪かったとしても挽回できるものとして覚えておきましょう。
ステレオタイプ
- A型は几帳面
- B型はマイペース
- O型はおおざっぱ
- AB型は変わり者
血液型にこのようなイメージをお持ちではないでしょうか?
当然ですが、生物学的にこのような根拠はなく、また統計学的にもこのようなデータはありません。
このように、複数のグループに分けられるものに対し、グループに所属する個人ごとの違いを無視し、ひとまとめにして特徴づけることを『ステレオタイプ』といいます。
帰属の誤り
人は、他者の行為は内的要因に帰属されやすく、自分の行為は外的要因に帰属されやすい、いわゆる『行為者-観察者バイアス』が働きます。
つまり、自分の成功は努力・能力、失敗は運・環境の悪さを原因とし、他者の成功は運・環境、失敗は努力・能力不足を帰属する傾向があります。
成功 | 失敗 | |
自分の行為 | 努力・能力のおかげ | 運・環境が悪い |
他者の行為 | 運・環境のおかげ | 努力・能力不足 |
この傾向が強いと、自身の行動や思考を正確に測ることが出来なくなります。
ぜひ自分や他社を客観的に見る癖をつけましょう。
心理的リアクタンス
心理的リアクタンス
人は、自分の選択や行動の自由を制限されると、それに反発し逆らう行動をとろうとします。
これを心理学用語で『心理的リアクタンス』と言います。
この要因となるのは、選択・行動の事由が制限されることで、結果的に通常よりも『希少性』が生じてしまうためです。
通常購入しないような商品も、「先着○名」と謳われ、目の前で残数が減っていくことで、「入手する自由」の制限に対する反発として購入してしまいたくなります。
現状維持バイアス
『心理的リアクタンス』に見られるように、人は損する・失うことを避けたいという心の動き(損失回避性)があります。
具体的には、行動をする場合の「利得」が、「損失」の1.5~2.5倍以上でなければ、人は行動する必要性を感じず現状のままでいようとします。
この現象を『現状維持バイアス』と言います。
組織改革プロジェクトがなかなか進まないのも現場の『現状維持バイアス』が原因です。
身元のわかる犠牲者効果
提示された対象が人数や割合などの場合は共感・関心が低いが、特定の個人を例とすると共感・関心が高まる現象を『身元のわかる犠牲者効果』と言います。
あなたが募金をする場合を例にとってみましょう。
- 世界中の○○%が食糧不足で困っている(人数や割合を提示)
- あなたの寄付で○○ちゃんというひとりの少女が救われる(特定の個人を提示)
と提示されたとき、後者の方に募金をしてしまうのではないでしょうか。
この効果は、提案や説得など様々な場面で使うことができるため、おさえておきましょう。
同調バイアス
周りの他者の行動を参考にして、自分の行動を変えることを『同調バイアス』といいます。
例えば、初見の飲食店に入る際、ガラガラのお店と、並んでいるお店がある場合、わざわざ並んでいるお店を選択したことはないでしょうか。
「他の人が並んでまで入るお店なのでおいしいに違いない」と考えるわけです。
さらに次にやってきた人も同じ選択をするため、人気店は人気であることが理由でさらに繁盛します。
まとめ
本記事では、人間特有の不合理な行動をひも解く『社会心理学』の観点から『認知バイアス』を紹介しました。
心理学の世界において認知バイアスの理解は必須です。
認知バイアスに興味を持たれた方は、下記の書籍などでさらに学ばれることをオススメします。
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