【心理学×認知科学的バイアス】私たちはどのように世界を知覚する?

認知バイアス-認知科学キャリア&スキル

心理学において、偏見や思い込み、誤解などを指す言葉として『バイアス』が様々なシーンで使われます。

本記事では、どのような『バイアス』が存在するのか?私たちの日常生活の認知にどのような影響を与えているかをまとめています。

バイアス』を正しく理解し、自分で情報を正しく選択できるようになりましょう。

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心理学×認知科学的バイアス

日常や会社生活の中で、なぜ間違った記憶をしてしまうのか、思い込みをしてしまうのか…。

私たちが世界をどのように知覚しているかをひも解く『認知科学』の観点から『認知バイアス』を理解しましょう。

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多感覚統合

『感覚』というと、いわゆる五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)をイメージしますが、私たちは日常の生活において、単独の感覚ではなく複数の感覚情報の組み合わせにより物事を捉えています(多感覚統合)。

身近な例では、ものを食べる際の「味」は、味覚はもちろんですが、におい(嗅覚)や見た目(視覚)も重要な要素となります。

これを証明する現象として、視野から自分の手を隠し、自分の手に類似したゴム製の手を撫でられると自分の手のように感じられてしまう『ゴムの手錯覚』や、音声と一致しない話者の口の動きの映像を見せると、実際の音声とは別の音に聞こえる『マガーク効果』などがあります。

特に『マガーク効果』は、話者がマスクをつけて話していると、声が籠っている以上に聴き取りづらく、私たちがいかに日常で多感覚統合を行っているかがわかります。

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認知的不協和

認知的不協和

自分の本音と実際の行動が矛盾しているなど、自分の中で複数の矛盾する意見を抱えている状態を『認知的不協和』といいます。

複数の矛盾する意見を抱えている状態を解消するため、実際の行動に自分の本音を合わせる(捻じ曲げる)ことがあります。

これはブラック企業社員の思考にありがちで、「労働の待遇が過酷である(実際の行動)」ほど、「つらい、やめたい(不協和)」を解消するため、「やりがいのある仕事をしている(本音を捻じ曲げる)」と思い込んでしまうため、注意が必要です。

気分一致効果

人は、楽しい・嬉しい時には物事の良い面ばかりを記憶し、逆に悲しい時には物事の悪い面ばかりを記憶する傾向があります。

皆さんも、いわゆる正のループや負のループを感じたことがあるのではないでしょうか。

これを『気分一致効果』と言います。

正のループについては良いのですが、負のループは避けなければいけません。

このようなネガティブな気分を和らげるためには、ネガティブな気分になった際に、楽しいことを思い出す、楽しい情報に触れる『気分不一致効果』によって、負のループを断ち切ることができます。

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記憶の過誤

過誤記憶

過去の記憶を思い出す際、残念ながらそれが真実と異なることが多々あります(過誤記憶)。

記憶は決してコンピュータのように正確ではなく、新たに得た情報から干渉され、補足され、再構築されます。

特に自身が経験していない出来事の目撃証言ほど、記憶の確実性が弱くなります。

相手が真実と異なることを語ったとして、悪意があるとは限らないことを留意しましょう。

スリーパー効果

SNSなどで目にした、真偽もわからないゴシップが、自分の中でいつのまにか「真実」として扱われていた、という経験は誰しもあるはずです。

信頼性の低い情報源から得た情報が、時間の経過と共に意見が変容することを『スリーパー効果』と言います。

スリーパー効果が起こる背景には、情報には『情報』そのものと『情報源』が存在しますが、時間の経過に連れて『情報源』を忘れることで信頼性がフラットになることがあります。

つまり、もともとの情報源の信頼性がマイナスの場合、時間の経過に連れて信頼性が向上するということです。

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確証バイアス

人は、仮説検証の際、自分の仮説に沿う情報のみを集め、仮説に反するような情報を無視しがちです。

これを『確証バイアス』と言います。

確証バイアスを説明する有名な問題があります。

4枚のカードは全て、片面には「アルファベット」、もう片面には「数字」が書かれている。最小限のカードを裏返すことで、『一方の面が母音ならば、もう一方の面は偶数である』仮説を確かめたい。

認知バイアス-確証バイアス

多くの方が「E」と「4」を選択しますが、正解は「E」と「7」、驚くべきことに、この問題の正答率は10%未満と言われています。

この問題のポイントは以下です。

  • 「A」は、一方の面が母音ならば、もう一方の面は偶数であることの確証
  • 「7」は、一方の面が母音ならば、もう一方の面は偶数であることの反証
  • 「4」は、一方の面が母音ならば、もう一方の面は偶数であることに無関係

このように、自分の考え・仮説に固執せず、常に「反証」を意識するようにしましょう。

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疑似相関

迷信行動

「流れ星にお願いをする」、誰もが一番やってしまうことではないでしょうか。

夢の無い話ですが、「流れ星にお願いをする」ことで「夢が叶う」ことに因果関係は当然存在しません

それにも関わらず、『○○すると△△する(できる)』という別々の出来事に因果関係を作ることを『迷信行動』と言います。

『迷信行動』は必ずしも悪いことではなく、スポーツ選手が行う「願掛け」や「ルーティーン」のように、自身のメンタルコントロールに活用することができます。

疑似相関

「アイスクリームの売上が上がると、海の溺水事故が増えた」データがあったとして、『アイスクリームの売上』と『海の溺水事故の件数』に直接の相関があるかというと答えは『No』です。

上記はわかりやすい例ですが、我々はデータ分析の際に2つの間に相関を求め(疑似相関)、誤った解釈をしがちです。

この例では、『気温』が潜伏変数(隠れた変数)として存在します((気温が高いと)アイスクリームの売上が上がる、(気温が高いと海に行く人が増え)溺水事故が増える)。

このように、複数の事象の相関を分析する際には、潜伏変数に気をつけましょう。

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まとめ

本記事では、私たちが世界をどのように知覚しているかをひも解く『認知科学』の観点から『認知バイアス』を紹介しました。

心理学の世界において認知バイアスの理解は必須です。

認知バイアスに興味を持たれた方は、下記の書籍などでさらに学ばれることをオススメします。

 

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