DX(=Digital Transformation)は、ビジネスや技術、双方の幅広い観点から理解する必要があります。
本記事では、DXのTransformation(ビジネス)領域から、『プロセスイノベーション』について紹介します。
業務(仕組みとしてのIT)
DXでは、様々なイノベーションが実現しています。
今回は、『プロセスイノベーション』について、おさえるべきトレンドを紹介します。
プロセスイノベーション
ロボット × プロセス
RPA (Robotics Process Automation)
RPA (Robotics Process Automation)は、「ロボットによる業務プロセスの自動化」です。
ルールに基づき繰り返し実施される定型業務を中心に、AIを活用することで自動化による業務改革を実現します。
Amazonロボット
Amazonは最もDXを実現する企業としてユーザーに多角的なサービスを展開していますが、それを支える業務プロセスも革新的です。
特に物流においては、「Amazon Robotics」倉庫内で商品棚を運ぶロボットや「Amazon Prime Air」といわれる物流ドローンを活用した配送サービスなどの導入が行われています。
ソフトウェア × プロセス
ERP (Enterprise Resource Planning)
ERP (Enterprise Resource Planning)は、経営・業務資源計画の策定の取り組みであり、ERPシステムは統合基幹業務システムとして、自社の経営情報のほとんどが集約されます。
ERPには下記のような提供形式があります。
- クラウドERP … クラウド環境で提供するERPパッケージ
- 2層ERP … 本社で稼働する大規模なERPシステム(コアERP)と別に、各拠点に最適なERPシステム(サブERP)を導入する考え方
BPMは、企業の業務プロセスを把握・分析し、断続的に改善・最適化する取り組みであるため、継続的にビジネス環境が変化する状況には適していません。そのため最新のベスト・プラクティスをパッケージ化し、業務を変革するのがERPの考え方です。
ERP以外にも、経営や業務の全体最適を指向した考え方があります。
PLM (Product Lifecycle Management)
PLM (Product Lifecycle Management)は、製品企画、設計から生産、販売、廃棄に至るまでの製品ライフサイクルを一元管理する考え方です。
BIM (Building Information Modeling)
BIM(Building Information Modeling)は、コンピュータ上に、建築予定の建物の3次元モデルを再現、建築に伴う情報を管理することで、設計のみならず、施工から維持管理まで全工程で情報活用を行う考え方です。
IoT × プロセス
IoTがもたらすイノベーションは大きく以下の2つです。
- 社会基盤をシフトする「CPS (Cyber Physical System)」
- モノの価値をシフトする「モノのサービス化」
それぞれのイノベーションが生み出すビジネス価値の進化事例を紹介します。
CPS (Cyber Physical System)
現実世界をデジタルデータで捉え、社会やビジネスを動かす仕組みであるCPS (Cyber Physical System)の実現により、私たちの社会活動や生活を大きく変えます。
ビジネスにおける一例が『スマートファクトリー』です。
スマートファクトリーは、IoT・AIなどを用いデータ分析・活用、製造プロセスの改善や稼働効率化を実現する工場で、ファナックの「Field system」が有名です。
モノのサービス化
かつてモノの価値はハードウェアにあり、製造業においてもモノの製造・販売がコアビジネスでしたが、IoTの実現により、価値がソフトウェアや、サービスへとシフトしています。
RollsRoyce (ロールス・ロイス) | Michelin (ミシュラン) | komatsu (コマツ) | |
コア ビジネス | ジェットエンジンの 製造・販売 | タイヤの製造・販売 | 建設機械の製造・販売 |
付加価値 ビジネス | 出力×時間に応じた 従量課金 | 走行距離に応じた 従量課金 | 建設機械遠隔確認 |
新規 ビジネス | ・燃料費節約 コンサルティング ・予防保守・交換 | ・安全・省エネ運転 コンサルティング ・予防保守・交換 | 工事施工自動化 |
ビッグデータ × プロセス
センサーデータ流通
センサーデータ流通とは、各種センサから収集されるデータを社会的に利活用する取り組みです。
かつてデータ流通はクローズな環境での利用に限定されていましたが、流通がオープンになることで、企業や業界を超えてセンシングデータが利活用されますが、以下のような課題もあります。
- 技術的課題 … 膨大なデータのマッチング、データの保証など
- 心理的課題 … データの使われ方への不安など
- 法的課題 … 国ごとの法制度の差異、データの所有権の帰属
まとめ
本記事では、DXのTransformation(ビジネス)領域から、『プロセスイノベーション』について紹介しました。
DXのビジネス領域については、下記書籍が最もよくまとめられていますので、興味を持たれた方は、合わせてお読みすることをオススメします。
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