DX(=Digital Transformation)は、ビジネスや技術、双方の幅広い観点から理解する必要があります。
本記事では、DXのTransformation(ビジネス)領域から、『IT機器・サービスのイノベーション』について紹介します。
IT機器(道具としてのIT)
DXでは、様々なイノベーションが実現しています。
今回は、『IT機器・サービスのイノベーション』について、おさえるべきトレンドを紹介します。
IT機器・サービスのイノベーション
ロボット × IT機器・サービス
SoC (System on a Chip)
SoC (System on a Chip)は、システムの動作に必要な機能(プロセッサ、メモリなど)を一つの集積回路に実装している半導体です。
下記のようなSoCが注目されています。
製品名 | ベンダー | 主な用途 |
Xavier | NVIDIA | 自動運転 |
EyeQ | Mobileye | 画像認識 |
Pixel Visual Core | 画像処理 |
AI × IT機器・サービス
自然言語処理・音声認識プラットフォーム
人間の自然言語・発話を機械で処理する「自然言語処理」・「音声認識」はAIの研究分野の一つであり、既に我々の生活にも普及しています。
音声アシスト
「会話型AIプラットフォーム(音声アシスト)」により実現するAIスピーカーは、自然言語処理・音声認識プラットフォームの代表格です。
AIスピーカー | 音声アシスト |
Amazon Echo | Alexa |
Apple HomePod | Siri |
Google Home | Google Assistant |
Microsoft Invoke | Cortana |
LINE Clova WAVE | Clova |
機械翻訳
機械翻訳は、コンピュータプログラムを利用して機械的にある言語で書かれた文章を他の言語へ翻訳する、自然言語処理の応用技術です。
以下のようなサービスがありますが、いずれも最先端のニューラルネットワーク利用により品質を向上させています。
google翻訳 | |
Bing翻訳 | Microsoft |
質問応答
質問応答は、ルールベースから始まり、統計的質問応答、意味的構文解析と進展しています。
質問応答システムとしては、クイズ番組で人間に勝利した『IBM Watson』が有名です。
AIソフトウェア開発プラットフォーム
AIなどのソフトウェア開発のプラットフォームとして、NVIDIAが開発・提供するGPU向け汎用並列コンピューティングプラットフォームであるCUDA (Compute Unified Device Architecture)が注目されています。
ソフトウェア × IT機器・サービス
FOSS (Free/Open Source Software)
FOSS (Free/Open Source Software)は、利用者に自由が認められているフリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアの総称です。
これらは混同されがちですが、性質上異なるソフトウェアです。
フリーソフトウェア | ・ソースコードは未公開 ・無償で利用できるが修正・再配布が認められていない場合あり |
オープンソースソフトウェア | ・ソースコードが公開 ・無償で利用・修正・再配布が可能 |
DXコミュニケーションツール
Slackは、グループチャットやメッセージング機能を持つコミュニケーションツールです。
リモートワークなど場所に依存しない仕事環境を支えるコミュニケーションハブや、クラウド業務アプリとAPI連携できることによる業務基盤にもなるため、DXを推進する企業での活用が増加しています。
IoT × IT機器・サービス
エッジIoT製品
IoTの実現により爆発的に増えるデータを効率的に処理するため、デバイス(エッジ)側でデータ処理を行う「エッジヘビー」の考え方が有効となります。
エッジIoTの実現に向けて、エッジで機械学習モデルを実行するための製品であるEdge TPUおよびCloud IoT EdgeをGoogleが提供しています。
Edge TPU (Edge Tensor Processing Unit) | 機械学習ライブラリ「TensorFlow」をエッジで実行するためのハードウェアチップ |
Cloud IoT Edge | ゲートウェイや接続デバイス向けにGoogle Cloud AI機能を拡張するためのソフトウェア |
ハードウェア × IT機器・サービス
量子コンピュータ
量子コンピュータ(quantum computer)は、量子力学を利用した並列計算により超高速処理を実現、従来のコンピュータでは計算に膨大な時間を要する問題であっても、極めて短時間で解けるようになるためさまざまな分野での応用が期待されます。
量子コンピュータは、汎用的に応用できる『汎用量子コンピュータ』と、特定の計算問題(組み合わせ最適化問題)に特化した『特化型量子コンピュータ』に分類されます。
汎用量子コンピュータ | IBM 50Q System | IBM |
特化型量子コンピュータ (量子アニーリングマシン) | D-Wave 2000Q | D-Wave |
QNN(量子ニューラルネットワーク) | NTT | |
CMOS アニーリングマシン | 日立 |
これらを一般ユーザー向けに、クラウド上で利用できる取り組みも既に始まっています。
ビッグデータ × IT機器・サービス
ビッグデータDB
ビッグデータ向けのDBとして、AWSやGoogleがフルマネージドのNoSQLデータベースサービスを提供しています。
Amazon DynamoDB | AWS |
Cloud Bigtable |
データサイエンス × IT機器・サービス
BIツール
BI (Business Intelligence)ツールは、企業に蓄積された大量のデータを、専門知識がないデータ利用者でもデータ分析を可能とし、経営戦略や意思決定、マーケティング分析に役立てられるツールです。
主なBIツールとして以下が挙げられます。
- Tableau
- QlikView
- PowerBI
- Cognos
- SAS
クラウドコンピューティング × IT機器・サービス
コンテナ管理ソフトウェア
コンテナを実現するソフトウェアを「コンテナ管理ソフトウェア」といい、オープンソースの『Docker』が業界標準となっています。
コンテナの内容をDockerファイルとして共有化の仕組みを備え、異なるシステムをまたがる複数環境に迅速に移行することができます。
クラウドサービス
『AWS(Amazon Webサービス)』を始めとした、大手クラウド事業者が様々なクラウドサービスを提供しています。
AWS Lambda | FaaS | AWS |
IBM Cloud (BlueMix) | PaaS | IBM |
Google Cloud MachineLearning | 機械学習クラウドサービス | |
Cortana Analytics Suite | 機械学習クラウドサービス | Microsoft |
IBM Q Experience | 量子コンピュータクラウドサービス | IBM |
まとめ
本記事では、DXのTransformation(ビジネス)領域から、『IT機器・サービスのイノベーション』について紹介しました。
DXのビジネス領域については、下記書籍が最もよくまとめられていますので、興味を持たれた方は、合わせてお読みすることをオススメします。
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