中小企業診断士最後の関門、口述試験。
ほとんどの方が突破するとは言われているもののどういった内容なのかわからず不安な方も多いはずです。
本記事では、口述試験の概要や質問内容、対策などについてまとめさせていただきました。
安心して口述試験にのぞんでください。
口述試験の概要(日程など)
口述試験の概要
試験日 | 2次試験(筆記)合格発表1週間後(12月下旬) |
試験時間 | 15分程度 |
試験形態 | 受験生1人に対し試験官(中小企業診断士)2名の面接形式 |
試験内容 | 2次試験(筆記)の4事例に対する質問(5問程度) |
口述試験の考え方
中小企業診断士に限らず、ビジネスパーソンに必要な4つの基礎能力のうち、「診る」、「書く」能力を筆記試験で、「聴く」、「話す」能力を口述試験で図るという意図があると考えています。
とはいえ、口述試験は合格率が99%以上、決して落とすための試験ではありません。
中小企業診断士として問題なく世に送り出せるかどうかを確認している場だと考えてください。
当日の流れ
当日の主な流れは以下です。
- 受験票に記載の試験会場に開始予定時間前に向かう
- 待機部屋で他の受験生と共に待つ(この間与件文など資料を読むことは可能)
- 順番に呼ばれ、面接室の外で待機する
- 面接室へ入るよう指示されたら入室、面接開始(与件文など資料はカバンにしまいましょう)
- 面接は先輩診断士2名と、座りながら対面で実施
【重要】口述試験での質問内容(想定問答)
口述試験での質問は、すべて2次試験(筆記)の4つの事例に関する質問です。
大きく以下の3タイプの質問に分類できます。
- 問題認識(診断) … 事例企業の抱える問題・課題の分析(与件文ベース)
- 問題解決(助言) … 事例企業の方向性に関するコンサルティング
- 基礎知識 … 事例に関連するキーワード等の知識
「問題認識(診断)」「問題解決(助言)」は2次試験(筆記)のテーマですし、「基礎知識」は1次試験で学ぶこと、と考えると口述試験はこれまでの総合力を問われる試験ともいえます。
特に、基礎知識確認型質問は、盲点になりがちなのでご注意ください。
それぞれのタイプの質問でどんなことが問われるのか、回答の仕方も含め例を紹介します。
問題認識(診断)型質問
以下、問題認識(診断)型の質問例です。
- A社が海外進出するための課題は何ですか?
- B社が強化すべき強みは何ですか?
- C社が他社と戦略的提携を行うメリット、およびデメリットは何ですか?
- D社の財務上の問題点は何ですか?
ポイントは、Yes/Noクエスチョンではなく、事例の与件文ベースでの企業分析、問題・課題を問われることです。
問題認識型の質問では、基本的に与件ベースのことを問われますが、記憶力を問われる場ではないので、厳密さは不要です。
問題解決(助言)型質問
以下、問題解決(助言)型の質問例です。
- A社は今後どのような人材育成を行うべきでしょうか?
- B社がCRMを強化するためのアドバイスをお願いします。
- C社の製造部門と営業部門の連携を強化するために何ができますか?
- D社が投資を実行した場合の財務面の影響は何ですか?
ポイントは、問題認識(診断)型同様Yes/Noクエスチョンではなく、診断事例企業がとるべき戦略自体の助言や、その戦略をとる場合の影響を問われることです。
問題解決型では、必ずしも事例文通りの戦略だけを問われるのではなく、仮定の戦略について問われることがあります。
事例文以外の質問への回答時には、「事実(=与件文に記載してあったこと)」と「仮説(=与件文に記載していないが、与件文から推測しうること)」を分けて話すことができるとベターです。
基礎知識確認型質問
以下、基礎知識確認型の質問例です。
- 成果主義導入のメリットは何ですか?
- CRMとは何ですか?
- 製造業ならではの留意点は何ですか?
- 固定費が高いとどのようなデメリットがありますか?
ポイントは、クイズのように説明からキーワードを答える質問ではなく、「○○○とは何か?」、「△△△のメリットは何か?」を問われることです。
基礎知識確認型質問は、上記の2タイプの質問と異なり、答えられない場合(知らないキーワードなど)は本当に答えられません。
少なくともご自身がわかる範囲で回答、「ここまでは理解している」ということをアピールし、そのうえで「申し訳ございません、○○○という言葉は存じ上げませんでした。今後より一層の努力をしたいと思います」と誠意のある回答をしましょう。
追加質問
これまでの3タイプの質問に加え、それぞれの質問に対する「追加質問」があるパターンもあります。
例えば、上記3タイプへの質問に回答後、下記のように問われます。
- 他にはありますか?
- (製品軸でご回答いただきましたが)サービス軸ではありますか?
- 具体的にはどのような施策が考えられますか?
ほとんどの方が、最初の質問時に答えられることはすべて答えていると思いますので、頭が真っ白になりがちな質問パターンです。
回答として「ありません」、「わかりません」では良くないので、「追加質問」を受けた際は、一呼吸置き、シンキングタイムを十分設けた上で、ブレストレベルの回答であっても1つ答えられると良いです(MECEな回答ができたらベスト)。
口述試験への対策
2次試験の事例復習
筆記試験の合格発表から口述試験まで1週間ありますので、その間筆記試験の4事例を復習しましょう。
具体的には、以下のようなことが出来ていると十分です。
- 4事例の与件文の見直し
- 設問およびご自身の回答の見直し
想定問答については、ご自身でトライしてもよいですが、各受験予備校が無料の口述対策セミナーを開催しているため、都合がつくようであれば参加するのがよいです。
「答えられない際の質問に対する対応」の準備
実は重要なのが、「答えられない際の質問に対する対応」を準備しておくことです。
答えられることは堂々と答えられるのですが、答えられない質問が来た際に心の準備が無いと誰でも頭が真っ白になります。
上記の例でも紹介したように、「わかっているところまでを最低限アピール」、「わからないことを告げ、今後の努力につなげる旨伝える」などの回答をするよう、言い方を準備しておくだけでも余裕が全然違います。
その他注意点(服装、マナー等)
前述の通り、口述試験はけして受験生を落とすための試験ではありません。 逆に、特筆した受験生を選抜するためのオーディションでもありません。
そのため、余計な個性はださず、以下のような社会人としてあるべき一般的なフォーマルな服装やマナーが出来ていればOKです。
- フォーマルな装い(派手すぎない髪の色・髪型、無地のスーツ、白シャツ、(男性の場合)派手すぎないネクタイ、黒い靴など)
- 「よろしくお願いします」、「ありがとうございました」などの基本的な挨拶
口述試験に不合格することはあるか
口述試験は落とすための試験ではありません。
基本的なことが当たり前のようにできていれば、「回答が適切でなかった」レベルで落とされることはありません。
とはいえ本番まではどうしても不安もありますよね。
気持ち面の不安が大きい方は、100%合格するコツを以下にまとめていますので安心してください。
まとめ
中小企業診断士最後の関門、口述試験について紹介しました。
診断士1次試験、2次試験(筆記)と狭き門を突破して来たのですから、自信をもって取り組みましょう!
この後は中小企業診断士の世界で実務が待っています。ぜひ良いコンサルタントとなって日本の中小企業を共に盛り上げていきましょう!
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