社労士試験の複雑な条文は『図解』で覚えよう(実際の事例紹介あり)

社会保険労務士

社会保険労務士試験の学習において、複雑な条文が理解できない、条件分岐が多くパターン分けが覚えられないなどの悩みにあたったことはないでしょうか。

社労士試験は条文の試験です。

どうしても文章で覚えようとしまいがちですが、複雑な条文の試験だからこそ『図解』を駆使するテクニックがとても有効です。

今回は難しいことを『図解』で理解するメリットや、社労士試験を『図解』で理解する事例を紹介します。

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社労士試験は『図解』で突破しよう

社会保険労務士試験は、条文が中心となる法律の試験です。

その学習において覚えるべき条文ももちろん『文章』ですし、試験も全て『文章』で出題されます。

しかし、人間の記憶の性質上、文章を文章のままインプットしアウトプットするのは、短期記憶であればまだしも1,000時間の学習を要する社労士試験の学習では不可能に近いです。

そのため、『図解』で理解する、という手法が社労士試験の学習においてはとても有効です。

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『図解』で理解するメリット

社労士学習において、条文を条文のままではなくわざわざ『図解』して理解するメリットはとても多くあります。

理解が定着しやすく試験でも使える(インプット面のメリット)

前述のように、文章を文章のままインプットしアウトプットするというのは、人間の記憶のしくみ上とても難しいです。

一生懸命条文をそのまま覚えたとしても、試験までに全て覚えていることは困難です。

図解』で理解することで、人間の脳に記憶として残りやすくなります。

また長期記憶として残りやすいため、試験でも使いやすいインプットとなります。

周囲の方にわかりやすく伝えてあげることができる (アウトプット面のメリット)

ご自身の理解が難しいことは、周囲の方にとっても難しいことです。

社労士試験の法律は、皆さんの生活にとって重要でありますが残念ながらその複雑さから敬遠されがちな内容です。

図解』で説明することで、周囲の方にわかりやすく伝えてあげることができるメリットがあります。

実際、優秀なコンサルタントやビジネスパーソンは、難しいことや複雑なことを簡単に『図解』し、誰にもわかりやすく説明する能力に長けている方が多いです。
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『図解』することにより複雑な制度の理解が深まる事例

以下、社労士試験の法律において、ご自身で図示してみることにより、複雑な制度の理解が深まる事例を紹介します。

その際のポイントは以下です。

  • (社労士試験に向けては)自分にだけわかる図であればよい。厳密さは求めない。
  • 自分の図示ルールを決めておく(時間軸は横軸で表現、金額の大きさは箱の大きさで表現など)

配偶者にかかる加給年金額の支給停止(厚生年金保険)

年金科目は、最も図として覚える手法が有効な科目です。

実際に社労士学習のテキストでも年金科目は図解されていることが多いですが、実際にご自身でも理解を図解してみることで、テキストの文字を追っているだけよりも圧倒的に理解が深まります。

特に、夫婦にまたがる年金は図示して覚えるのがベターです。

例えば、厚生年金保険の「配偶者にかかる加給年金額の支給停止」を図示すると以下になります。

配偶者特別加算」のような夫婦にまたがる年金は「一方の年金受給がもう一方の支給停止要件になる」などの要件から、通常の年金受給より複雑になっています。

ご自身で図解してみることで、条文が何を言おうとしているか正しく把握することが重要です。

60歳台前半の在職老齢年金(厚生年金保険)

初見では理解困難な項目の代表格が在職老齢年金、特に60歳代前半の在職老齢年金は覚えることが多くパターン分けも複雑なため苦手とする方が多い項目です。

なお、60歳代前半の在職老齢年金の月額支給停止額の考え方は以下です。

(A)基本月額(B)総報酬月額相当額月額支給停止額
(A)基本月額(B)総報酬月額相当額の合計が
支給停止調整開始額(28万円)以下
全額支給
支給停止調整開始額(28万円)
以下
支給停止調整変更額(47万円)以下((A)基本月額+(B)総報酬月額相当額-28万円)×1/2
支給停止調整変更額(47万円)超((A)基本月額+47万円-28万円)×1/2+((B)総報酬月額相当額-47万円)
支給停止調整開始額(28万円)
支給停止調整変更額(47万円)以下(B)総報酬月額相当額×1/2
支給停止調整変更額(47万円)超(47万円×1/2)+((B)総報酬月額相当額-47万円)
上記の60歳代前半の在職老齢年金の月額支給停止額の考え方は、あえて難しく表現しているわけではなく、

日本年金機構のホームページを見てもやはり理解の難しさは変わりません。

60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法|日本年金機構

私自身、社労士試験直前まで60歳代前半の在職老齢年金は苦手意識を持っていました。

しかし60歳代前半の在職老齢年金は頻出項目のため必ず覚えましょう。

社労士を目指す方にとって難しいと感じる項目 = 一般の方にとっても理解が難しい = 一般の方に教えてあげられることが付加価値になる、ということです。

60歳代前半の在職老齢年金についてもで覚えるのが有効です。

私の場合は以下の図にして覚えました。

こちらも正解は無いので、ご自身が覚えやすい図を作成してみてください。

休業(補償)給付から傷病(補償)年金への切り替え(労災保険)

もう一例紹介します。

「休業(補償)給付」、「傷病(補償)年金」、「障害(補償)給付」など労災保険では様々な給付が存在しますが、社労士の学習時には各給付をバラバラに学ぶため、それぞれの支給関係の把握が難しいです。

そのため、労災保険の各給付のフローチャートを自作してみることをオススメします。

重要なのは、厳密さを求めないことです。

厳密さを求めすぎると、場合分け(パターン)や条件が複雑になり、結局覚えにくいものとなってしまいます。
(社労士学習時点では)ご自身の理解のためだけのものなので、ご自身が覚えやすい図にすることがい一番です。
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『図解』が苦手な方へ

とはいえ、図解で表現するのに慣れていない方にとってはいきなりは難しいかもしれません。

しかし、周囲の方に理解が難しいことをわかりやすく伝えるには、文章よりも図解がとても有効です。

ご自身の理解を進めるだけならず、将来の「社会保険労務士」としてのご自身にも必ず役立つスキルです。

このタイミングで『図解』について学んでみてはいかがでしょうか。

また、インターネット上の記事や、書店に売っている雑誌も『図解』されていることが多いので大変参考になります。
これらは、一般の読者がいかに理解できるかが最大限考慮されているため、かなり洗練されています。
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まとめ

社労士試験において、複雑な条文の理解を促進するための手法である『図解』についてご紹介しました。

一般的に難しいと言われている条文を『図解』して理解することで、ご自身にとっても、他の方にとってもわかりやすいものとなります。

このテクニックは社労士学習に限ったものではありませんが、条文ベースの学習となる社労士試験において特に力を発揮する手法です。

『図解』を駆使した社労士学習で、効率的に社労士試験合格を目指しましょう!

また、図表の『』に着目した記事を下記にまとめています。こちらも合わせてご参考ください。

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