【プロジェクトリーダーの心得・実行フェーズ】実行は意思決定の連続

プロジェクトリーダーの心得(実行フェーズ)中小企業診断士

仕事を行う上で、大小様々な『プロジェクト』を経験されたかと思いますが、100%完璧なプロジェクトなど存在しなかったのではないでしょうか?

プロジェクト』は奥が深く、特にプロジェクトリーダーはあらゆる観点で意識を張り巡らせなければなりません。

本記事では「プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトを推進する『実行フェーズ』の心得を紹介します。

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プロジェクトにおける『実行フェーズ』の位置づけ

プロジェクトフェーズ

プロジェクトは、『独自の製品、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務』と定義されています。

達成すべき目標、およびそれを実現するためのスケジュールが存在しますが、目標やスケジュールによってそのためのアプローチや投資すべきスキル・リソースは全く異なってきます。

例えば、マラソン(42.195km)目標を4時間で走るのか、8時間で歩くのかスケジュールによってそれまでの準備や当日の【動き方】は大きく異なります。

そのため、プロジェクトを設計した後、プロジェクトを『実行』する(どのようにチームを運営するか、どのように意思決定・問題解決するか)ことが必須です。

これがプロジェクトにおける『実行フェーズ』の位置づけです。

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変更管理

変更を受ける場合はプロジェクト全体で影響を見積る

プロジェクトにおける変更要求は、プロジェクト上のリソース(人・金・時間)にダイレクトに反映します。

変更要求を受けた場合にインパクトがあるのは、受けたメンバーだけではありません。

「変更要求による他機能への影響」、「プロジェクトクリティカルパスへの影響」、「プロジェクトの追加予算の投入の必要性」など様々な観点から影響を見積る必要があります。

必ず、プロジェクト全体にエスカレーションし、全体での影響を見積るようにしましょう。

変更を却下する場合は代替案を提示

プロジェクトにおける変更要求は、残念ながら必ず発生しますが、プロジェクトの全ステークホルダーにとって『変更』は最も忌み嫌うものの代表格です。

そのため、プロジェクトチームとして受ける変更要求は全て「却下」したいのが本音です。

しかしながら、「却下」するだけではプロジェクトリーダーとしては失格です。

変更要求があるということは、その背景に必要性がある、ということですので、「なぜ今回却下判断をしたか」、また「○○という運用をとることで要求を満たすことができる」など、必ず代替案をセットで提示するようにしましょう。

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組織運営

コンフリクトを恐れない

プロジェクトは、最終目標を達成するために、必要なスキルを持ったメンバーの「集まり」にすぎず、最初の段階ではお互いの信頼関係もありません。

このような集まりにおいて、議論や衝突などの『コンフリクト』を避けたがるリーダーも少なくないですが、コンフリクト無しに「集まり」が「チーム」 へ昇華することはありません。

プロジェクトのゴールに対する認識やプロセスへの考え方、それぞれのスキルや経験、キャリアについて、納得いくまで議論し、衝突しましょう。

コンフリクト』が多いチームほど、プロジェクトチームとしての完成度は高くなるでしょう。

プロジェクトメンバーの能力×意欲に応じたリーダーシップをとる

プロジェクトにおけるメンバーは必ずしも均一の能力や意欲を持っているわけではありません。

そのため、メンバーの成熟度によってリーダーシップの型を変えるべきと言われています(状況対応リーダーシップ、SL理論)。

メンバーの能力や意欲における、とるべきリーダーシップの型は以下となります。

メンバーの能力 × 意欲リーダーシップの型
低能力 × 低意欲指示型(具体的に指示、管理する)
低能力 × 高意欲コーチ型(方針を説明、質問に応じる)
高能力 × 低意欲支援型(対話、自主性を促す)
高能力 × 高意欲委任型(遂行責任を委ねる)

特に、長期的なメンバーの成長も考え、高能力 × 高意欲のメンバーには積極的に『権限委譲』をするようにしましょう。

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問題解決

フレームワークを活用する

フレームワーク』は、問題分析・解決や意思決定を思考するための枠組み・切り口で、物事をMECE(体系的・網羅的)に考察するための手法です。

問題解決におけるフレームワークを活用することで、下記のようなメリットが得られます。

  • 思い込みや思考のモレを防止する
  • プロジェクトメンバー内の議論の粒度を合わせる
自身が対象となる問題、あるいは類似問題に対し十分に経験値があれば、「直観」で筋の良い仮説設定を行うことができますが、そうではない場合でも、戦略フレームワークの活用により、筋の良い仮説設定を行うことが出来ます。

なお、『フレームワーク』については本ブログの下記に詳しくまとめていますので、ご興味あれば合わせてお読みください。

戦略フレームワークとは?【課題解決に向けた思考過程(プロセス)】
『SWOT』、『3C』、『4P』…ビジネスの世界には様々な「戦略フレームワーク」が存在します。元々これらの戦略フレームワークは、コンサルタント専用の武器であったものの、近年ではその考え方も一般的に普及しています。しかし、フレームワークが問題解決の『答え』であるという思想を持ち、上記のような切り口で分類した結果、『So What?(だから何?)』となり、フレームワークの有効性を疑う方も少なくありません。本記事では、改めて「戦略フレームワーク」とは、またその位置づけなどについて紹介します。

フレームワークに囚われず「仮説思考」をする

前項の否定になりますが、『フレームワーク』は決して万能ではありません。

フレームワークは、時間や条件が無限にあり、あらゆる選択肢を網羅する際に有効ですが、多くの問題においては、限られた時間や条件下で意思決定を行う必要があるため、プロジェクトの問題解決において必ずしも有効な手段とは言えません。

そこで有効となるのが『仮説思考』です。

仮説思考』とは、目の前の問題に対し、過去の経験や知識から類推される解決策の可能性から問題解決を探る思考です。

仮説思考はフレームワークを軽んじているわけではなく、「自身が過去に経験した事象パターンから可能性の高い結論へ最短距離で向かい、体系的・網羅的な論理思考(フレームワーク)を省略することで、いちはやく『筋の良いあたり』に辿り着いている」思考プロセスを指しているに過ぎません。

もちろん『仮説思考』を使いこなすには経験や知識が必要ですが、前述の「フレームワーク」と「仮説思考」を必要に応じて使い分けましょう。

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意思決定

評価軸から「決断」する

プロジェクトにおいて、プロジェクトリーダーは多くの意思決定を行います。

そして、ほとんどの意思決定は、全ての判断材料が与えられるわけではなく、”限られた”情報、”限られた”時間の中で、かつステークホルダーが納得できる『決断』をすることが求められます。

そのために必要となるのが『評価軸』です。

評価軸は、例えば「メリット」「デメリット」、「品質」「コスト」「納期」など様々ありますが、ポイントは、ステークホルダーにとって納得できる(=ステークホルダーの理念を反映する)評価軸となっていることです。

例えば、「コスト」を重視するステークホルダーに対し、「品質」「UX(ユーザーエクスペリエンス)」の評価軸での意思決定を行おうとしても議論になりません。

意思決定プロセスを透明にする

プロジェクトにおける意思決定は、「終わり」ではなく「始まり」、決定事項が実行されることで初めて意味を成します。

そのため、意思決定「内容」そのものはもちろん重要ですが、それ以上に意思決定『プロセス』の納得性が不可欠です。

例えば、トップマネジメントが(意思決定プロセスが明示されていない)経営方針を出したとして、それを実行する現場が納得感をもって動くことができるはずがありません。

逆にいえば、プロジェクトメンバー間で『プロセス』の納得性があれば、「内容」そのものが多少非合理的であっても、高いパフォーマンスを発揮できるとも言えます。

必ず、意思決定『プロセス』については、可能な限りリアルタイムでプロジェクトメンバー間に説明・共有しましょう。

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まとめ

プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトの推進を行う『実行フェーズ』の心得を紹介しました。

また他フェーズの心得についても下記にまとめていますので合わせてお読み下さい。

【プロジェクトリーダーの心得・定義フェーズ】関係者間で意識を統一
仕事を行う上で、大小様々な『プロジェクト』を経験されたかと思いますが、100%完璧なプロジェクトなど存在しなかったのではないでしょうか?『プロジェクト』は奥が深く、特にプロジェクトリーダーはあらゆる観点で意識を張り巡らせなければなりません。本記事では「プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトの立ち上がりである『定義フェーズ』の心得を紹介します。
【プロジェクトリーダーの心得・設計フェーズ】「How」をデザイン
仕事を行う上で、大小様々な『プロジェクト』を経験されたかと思いますが、100%完璧なプロジェクトなど存在しなかったのではないでしょうか?『プロジェクト』は奥が深く、特にプロジェクトリーダーはあらゆる観点で意識を張り巡らせなければなりません。本記事では「プロジェクトリーダーの心得」として、プロジェクトのデザインを行う『設計フェーズ』の心得を紹介します。

本記事は、プロジェクトリーダーの心得が良くまとまっている『プロジェクトリーダーの教科書』を参考にまとめさせていただきました。

ご興味を持たれた方は、ぜひ本書にてより深い心得を学ばれることをオススメします。


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