戦略フレームワークとは?【課題解決に向けた思考過程(プロセス)】

戦略フレームワークとは?中小企業診断士

SWOT』、『3C』、『4P』…ビジネスの世界には様々な「戦略フレームワーク」が存在します。

元々これらの戦略フレームワークは、コンサルタント専用の武器であったものの、近年ではその考え方も一般的に普及しています。

しかし、フレームワークが問題解決の『答え』であるという思想を持ち、上記のような切り口で分類した結果、『So What?(だから何?)』となり、フレームワークの有効性を疑う方も少なくありません。

本記事では、改めて「戦略フレームワーク」とは、またその位置づけなどについて紹介します。

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『戦略フレームワーク』とは?

戦略フレームワークとは何か?

「フレームワーク(framework)」とは、日本語で枠組み・骨組み・構造といった意味を持ちます。

その上で、ビジネスにおける「戦略フレームワーク」は、物事を認知し、問題分析・解決や意思決定を思考するための枠組み・切り口となります。

戦略フレームワークを活用するメリット

「戦略フレームワーク」を活用する最大のメリットは、物事をMECE(体系的・網羅的)に考察するためです。

例えば、ある企業における『利益の減少』という問題に対し、やみくもに「売価が低いのでは?」「人件費がかかりすぎているに違いない!」などと思考を張り巡らせていてもその網羅性・妥当性がわかりません。

この例であれば、下記のように「利益」を要素分解することで、モレやダブリなく分析を進め、客観的に納得感をもち問題を特定することが出来ます。

  • 利益 = 売上 – コスト
  • 売上 = 顧客数 × 単価
  • コスト = 製造原価 + 販管費
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フレームワークは「ゴール」ではなく「プロセス」

冒頭のように、フレームワークが問題解決の『ゴール(答え)』であるという思想を持つ方は少なくありません。

実際には、フレームワークはあくまで答えを導き出すための前提としての『プロセス(思考過程)』にすぎません。

フレームワークを活用することにより事象を単純化・構造化、人間が課題解決(ゴール)に向き合いやすくするための思考過程(プロセス)という位置づけになります。

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問題解決における戦略フレームワークの使い方

コンサルタントが物事に対する問題解決を図る際には、大きく以下の3ステップを踏みます。

いずれのステップにおいても「戦略フレームワーク」が活用できます。

  • 1st step:仮説設定
  • 2nd step:仮説分析
  • 3rd step:結論

1st step: 仮説設定

仮説設定は、物事の問題の「あたり」をつけるステップです。

自身が対象となる問題、あるいは類似問題に対し十分に経験値があれば、「直観」で筋の良い仮説設定を行うことができますが(実際ベテランのコンサルタントはこの仮説設定がとても速く、高い精度です)、そうではない場合でも、戦略フレームワークの活用により、筋の良い仮説設定を行うことが出来ます。

「直観」の正体

前述した「直観」は、「思考のショートカット」、「当てずっぽう」と考えられる方も少なくないですが、厳密には、自身が過去に経験した事象パターンから可能性の高い結論へ最短距離で向かい、体系的・網羅的な論理思考を省略することで、いちはやく「あたり」に辿り着いていると定義できます。

極端な話、目の前のいきものを見て、それが「犬」であるということを「ワンと鳴く」、「小さい」などすべての特徴を体系的・網羅的に整理して判断している方はいないでしょう。
自身が過去に覚えている犬のパターン(特徴量)から、すぐに「犬」であると判断する、これが「直観」の正体です。

2nd step: 仮説分析

1nd stepで設定した仮説に対する分析『Why So?(なぜそうなるのか?)』、つまり問題のありかの特定を行います。

問題解決ステップの中で最も戦略フレームワークが力を発揮します。

例えば前述のような、ある企業の『利益の減少』という問題に対し、下記のように要素分解することで、モレやダブリなく分析を進め、客観的に問題を特定することが出来ます。

  • 利益=売上 – コスト
  • 売上 = 顧客数 × 単価
  • 顧客数  = 既存 +新規
  • コスト = 製造原価 + 販管費
  • 製造原価  = 材料費 + 労務費
  • 販管費 = 営業費 + 管理費
仮説設定同様に、自身が対象となる問題に経験豊富であれば筋の良いあたりをつけることもできます。
しかし、これが自分自身の思考のためだけの思考過程であれば問題ないものの、伝え、合意形成するための他者がいるのであれば、要素分解によるモレやダブリがない分析結果を経ての問題特定でなければ、客観的な納得感を得られることはできません。

このように戦略フレームワークは思考プロセスツールのみならず、明快なコミュニケーションツールでもあります。

3rd step: 結論

物事の問題解決においては、仮説設定・分析しただけでは何の意味も成しません。

設定した仮説に対する分析結果の結論づけ『So What?(だから何なのか?)』を行います。

So What?』は、さらに「では何が問題なのか?」、「では何をすべきか?」の2つに分類されます。

結論のステップについても、これまでのステップ同様に『3C(Compony、Customer、Competitor)』『4P(Product、Price、Promotion、Place)』と言ったフレームワークを用いることで納得感のある結論づけができます。

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まとめ

本記事では、「戦略フレームワーク」とは、またその位置づけなどについて紹介しました。

フレームワークを活用した課題解決は、ビジネスのあらゆる現場で活用できます。

本記事でご興味を持たれた方は、下記のような書籍を用いてより深くフレームワークについて学ばれることをオススメします。


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